CBR1000RR(2004-2019)がフルモデルチェンジするかたちで、2020年の新型として登場したのが、CBR1000RR-Rだった。リッタークラスのスーパースポーツ「ファイヤーブレード」としては、CBR900RR(1992年)以来、28年目を、新型モデルとともに迎えることになった。水冷直列4気筒のエンジンは、排気量こそ前年までのCBR1000RRと変わりない999ccながら、ボア×ストロークは、76mm×55.1mmから81mm×48.5mmへと変更された新型ユニットになり、160kW(218ps)を14,500回転/分時に発生。チタンコンロッドやアルミ鍛造ピストンなどにより、さらなる高回転化を達成していた。また、ブリスターカウルの中には、3枚のウイングが装備されるようになった。MotoGPなどのレーシングマシンでは馴染みの装備となっていたウイングは、飛行機の羽根を逆さにしたような形状が発生させるダウンフォースによって、加速時、減速時における前輪の安定性を高めるものだった。SPタイプも設定され、こちらには、オーリンズ製の電子制御サス(前後とも)を採用。フロントキャリパーはブレンボ製だった。2019年11月5日に欧州で発表された時点で、日本市場への導入予定がアナウンスされ、2020年3月20日、SPタイプともども発売された。2022年3月にマイナーチェンジを受け、平成32年(令和2年)排出ガス規制をクリア。同時にドリブンスプロケの丁数を変更するなどの小変更、トラクションコントロールの制御プログラムへの調整が入った。2024年3月にも仕様変更があり、ウイングレット、ミドルカウル、アンダーカウルの形状が変更された。また、スロットルバイワイヤが2モーター式となり、2気筒ごとの制御が可能になった。ギア比も変更された。