GSX-8Rは、2023年11月開催のEICMA(ミラノショー)で発表されたミドルクラスのスポーツツアラーで、2024年1月に日本でも発売された。2022年のEICMAで発表(日本では2023年3月発売)された、GSX-8Sのフルカウルバージョンで、ストリートファイター的なGSX-8Sよりもハンドルは低め、かつセパレートタイプながら、レーサーモデルほどの前傾姿勢が求めらるわけではなかった。エンジンは、GSX-8Sと共通の775ccの並列2気筒(パラレルツイン)DOHC4バルブユニットを搭載。出力モードは3タイプから選択可能で、トラクションコントロールの介入度も3種+解除から選ぶことができた。6速ミッションにはクイックシフターも装備。この時代のスズキが広く採用していたイージースタートシステム(始動スイッチのワンプッシュでスターターが一定時間回転)、ローRPMアシスト(発進時のエンスト抑制)を備えているところも含めて、GSX-8Sと同じ。スズキのフルカウルスポーツの場合、GSXの直後に「-R」が付くと、レーサー系(GSX-R1000など)、GSXの直後に「数字」があって「R」となるとスポーツツアラー系(GSX1300RハヤブサやGSX250Rなど)になる。その倣いからも、GSX-8Rは後者であったし、現実の車体構成もそうだった。サーキット走行も楽しむことができる「ふところの深さ」があるのも、スポーツツアラー系ならではだった。