2022年まで、1050/650/250の排気量クラスで展開されてきた「Vストローム」に加わった800ccモデル、それがVストローム800DEだった。発表されたのは、2022年秋のEICMA(ミラノショー)で、翌2023年3月から日本でも発売された。ミラノで同時に発表されたGSX-8Sと同じ排気量775ccの並列2気筒DOHCエンジンは、新設計されたもの。量産バイク用エンジンとしてはじめてクランク軸に対し90°で1次バランサーを2つ配した「クロスバランサー」を採用。そのことで、軽量コンパクトなユニットに仕上がっていた。Vストローム800DEのデザインは、同時期のVストローム・シリーズを踏襲したものだったが、末尾の「DE」は、2023年2月に発売(日本)されたVストローム1050DEに続くネーミング。1050DEと同じように、フロント21インチ(リア17インチ)のスポークホイールを採用し、オフロード走破性が高められていることを示していた(※)。電子制御のスズキインテリジェントライドシステム(S.I.R.S)を採用し、ライディングモードは3タイプから選択可能、アップ/ダウン双方向のクイックシフターも備えていた。また、この時代のスズキが広く採用していたイージースタートシステム(始動スイッチのワンプッシュでスターターが一定時間回転)、ローRPMアシスト(発進時のエンスト抑制)も備えていた。※スポークホイールは、キャストホイールよりも路面からの衝撃を吸収しやすい構造で、大径なほうが路面の凹凸をクリアしやすい。