GSX-8Sは、2022年秋のEICMA(ミラノショー)で発表されたミドルクラスのロードスポーツモデルで、日本では2023年3月に発売された。同時に発表されたVストローム800DEと同じ、排気量775ccの並列2気筒DOHCエンジンは、新設計されたもの。量産バイク用エンジンとしてはじめてクランク軸に対し90°で1次バランサーを2つ配した「クロスバランサー」を採用。そのことで、軽量コンパクトなユニットに仕上がっていた。外観デザインは、2021年に発表(国内発売は2022年)されたGSX-S1000のフロントマスクを踏襲してはいるが、さらにシャープなものになり、ショートエキゾースト、コンパクトなエンジンともあいまって、GSX-S1000との近似を感じさせないものとなっていた。電子制御のスズキインテリジェントライドシステム(S.I.R.S)を採用し、ライディングモードは3タイプから選択可能、アップ/ダウン双方向のクイックシフターも備えていた。また、この時代のスズキが広く採用していたイージースタートシステム(始動スイッチのワンプッシュでスターターが一定時間回転)、ローRPMアシスト(発進時のエンスト抑制)も備えていた。