BMWのF800STは、2009年モデルとして新登場したネイキッドスポーツだった。排気量798ccの水冷並列2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載したF800シリーズは、F800R以前に、F800S/ST(2006年-)、F650/800GS(2008年-)が展開されており、5番目のモデルにあたった。外観上の特徴は、角型の異形2灯ヘッドライトで、これは、K1200R(2005年-)を彷彿とさせるもの。まるで、カウルを剥ぎとった後のようなスタイルは、ストリートファイターのようだった(フルカウルスポーツからカウルを剥ぎ、バーハンドル化したのがストリートファイターの原義)。モデル名の「R」は、BMW流に「ロードスター」を表した。2012年にはマイナーチェンジを受け、ボディ同色のウインドシールドを標準装備。2015年にはフルモデルチェンジを受け、外観を刷新。K1200Rゆずりの独特な形だったヘッドライトは、(比較すれば)一般的な1灯タイプになり、フロントフォークが倒立式に、フロントのブレーキにラジアルマウントキャリパーを採用するなどの変更を受けた。また、オプション設定ながら電子制御サス(ESA)やスタビリティコントロール(ASC)を搭載することも可能になった。2017年モデルでは、欧州のユーロ4規制に適合。ライディングモード(2タイプ選択)も装備された。後継モデルは、2019年のEICMA(ミラノショー)で発表されたF900R。※日本では、2017年9月1日出荷以降のモデルにETC車載器が標準装備された。