デスモセディチRRは、MotoGP参戦用マシンのレプリカモデルとして、2008年に限定販売されたスペシャルモデル。名称のデスモセディチは、ドゥカティならではの強制開閉式のバルブを表す「デスモドロミック」と、イタリア語で16を意味する「セディチ」を組み合わせたもの。つまり、「16バルブ」ということ。デスモセディチRRに搭載された989ccエンジンの1気筒あたりのバルブ数は4本だったので、すなわちこのエンジンの気筒数は「4」、MotoGPマシンと同じL型4気筒であることを、モデル名に表現したものだった。なお、排気量を989ccと記したが、発売された2008年時点でのレギュレーションは、MotoGPクラスの排気量は800cc以下(2007-2011年)であることを定めていた。そのため、デスモセディチRRは、ロリス・カピロッシとセテ・ジベルノーが駆り、カピロッシが日本GPを含む3勝を挙げた2006年のワークスマシン(990cc時代の最終年)をベースに作り上げられたということが分かった。実際に、2004年のWDW(ワールド・ドゥカティ・ウィーク)において、デスモセディチRRの開発が公式発表されていた。約4年の開発期間を経て登場したデスモセディチRRのフレームは、伝統のチューブラートレリスながら、エンジンを強度メンバーとすることで軽量・コンパクトとしたハイブリッドタイプで、後部のシートフレームやフェアリングはカーボンファイバー製だった。日本仕様では、最高出力が61hpに制限されていたが、レーシングエキゾーストを取り付けることで、欧州仕様同等の200hpを発揮させることもできた(公道走行不可)。世界限定1,500台が生産され、5万ユーロのプライスタグが付けられていた(日本での価格は866万2500円)。[追記]GPマシンレプリカとして異例づくめのモデルだったデスモセディチRRは、唯一の4気筒エンジン搭載市販車だった。それから10年、2018年モデルとして登場したのが、パニガーレV4。そのV4エンジンは、「デスモデディチ・ストラダーレ」(公道仕様のデスモセディチ)と呼ばれていた。