「現代版のマッハ」として開発されたザンザスは、1992年4月に発売されたネイキッドスポーツ。わざわざ「ネイキッド」と記したのは、ザンザス発売に先立つ1989年に登場したゼファーが、レーサーレプリカに対するアンチテーゼとして、ネイキッドというジャンルを確立させていたから。ザンザスは、ZXR400用の水冷直列4気筒エンジンを、ストリートユース向けにリファインして採用した、パフォーマンス重視のネイキッドというキャラクター設定だった。しかしながら、ゼファーが作り出したネイキッドのブームは、「よりトラディショイナルなスタイルや雰囲気を感じさせる」カウルレスのバイクを求める声に支えられていたもので、その点、ザンザスは斬新すぎた。カワサキは、1994年に往年のZ1000Rローソンレプリカのようなスタイルを持つ水冷直列4気筒車、ZRX(400)を登場させた。異端のネイキッド、ザンザスは、1995年モデルを以て、カタログラインアップから外れていった。※ザンザスとは、ギリシア神話に登場する馬、クサントスの英語読み表記。ザンザス登場前年に登場していたバリオスとは、「ギリシア神話」「馬」つながりのネーミングだった。