イナズマは、1997年に発売されたネイキッドスポーツだった。4スト直列4気筒エンジンを搭載した400ccクラスのネイキッドとしては、ほぼ同時期にバンディット400と、それに続くGSX400インパルスが発売されていたが、イナズマの特徴は、なんといってもエンジン冷却が油冷式だったこと。スズキが1985年に発売したGSX-R750に採用して以来、スズキ大排気量モデルの技術的なアイコンになっていた油冷エンジンが、より身近な400ccクラスに採用されるということに、イナズマ登場の意味があった。スタイルはオーソドックスなネイキッドスタイルで、ボリュームのある丸いタンクが印象的。ビッグバイク並みの18リッターのタンク容量は、インパルスよりも2リッター多いものだった。フロントブレーキのキャリパーがブレンボ製で、リアショックがカヤバ製と、豪華な装備も特徴だった。2000年11月にはマイナーチェンジを受けて、平成11年排出ガス規制に適合。排ガス中の未燃焼ガスを積極的に再燃焼させるエアインジェクションシステムや、メタルハニカム酸化触媒の採用などによるものだった。なお、スズキが設定した正式なモデル名は、単に「イナズマ」だったが、翌98年に発売されたイナズマ1200などとの混同を避けるため、バイクブロスではあえて「イナズマ400」と表記した。