2015年に発売されたストラダーレ800は、前年に登場していたリヴァーレ800をベースとしたツーリングモデルだった。他社(ドゥカティ)の先行事例でいえば、ハイパーモタードに対するハイパーストラーダにあたり、ともにイタリア語での「道路」をモデル名に表現していたことからも、近似性が伺えた。とはいえ、MVアグスタのストラダーレ800(リヴァーレ800も)が採用していたのは、排気量798ccの水冷並列3気筒エンジン。F3やブルターレの800ccモデルに採用されていたこのパワーユニットは、クランクシャフトを進行方向とは逆回転させることで、コーナー進入時の慣性を軽減し、ハンドリング性能を向上させようとしたのが特徴だった。なお、リヴァーレ800がベースモデルではあるが、ツアラーとしての特性に最適化させるために、ステアリングヘッドアングルを見直し、スイングアームを延長するなど、車体への変更も行われていた。MVアグスタらしいスポーツ性能を、クイックシフターやトラクションコントロールなどのエレクトロニクスによって制御しながら、高さ調整可能なウインドスクリーン、パニアケースを装備したプレミアム・ツアラーだった。標準モデルに少し遅れて、トップケースとグリップヒーターを追加装備した「ツーリングエディション」が限定販売された。