ロケットⅢは、「大排気量クルーザーはV型エンジン」という固定概念を打ち破るかたちで、2004年に発売された。トライアンフらしい直列3気筒のエンジンは、排気量が2,294ccもあり、量産車として史上最大のもの(当時)。そのビッグトリプルを縦置きしたのは、トライアンフにとって初めてのことだった。大排気量、縦置エンジンということで、フレームも専用設計。巨大なエンジンは、フレームの一部として、ストレスメンバーに使われていた。20kg・mを超えるトルクを受け止めるため、タイヤは極太で、フロントは150/80-17、リアは240/50-16サイズ。フロントタイヤでさえ、同年式ボンネビルのリアタイヤよりも太かった。丸目2眼のヘッドライトは、2000年代前半のトライアンフスポーツを象徴する意匠だった。こののち、ロケットⅢからは、「クラシック」や「ツーリング」などの派生モデルが続々と登場。時を経て、2019年に登場した「ロケット」は、表記がローマ数字のⅢではなく、アラビア数字の「3」を使うようになり、モデル名は「ロケット3」(R/GT)ということになった。