1991年2月に発売されたNS-1は、50ccの水冷2スト単気筒エンジンを搭載した、原付1種のスーパースポーツモデルだった。前後17インチホイールの「フルサイズ」原付スポーツとしては、87年から90年まで販売されていたNS50F(エアロ)の系譜に連なるものだったが、NS-1の特徴は、フルカウルになったことと、ヘルメット収納機能(メットイン)を持ったこと。通常のスポーツバイクなら燃料タンクにあたる部分が、収納スペースになっていた(この手法は、後のNC700シリーズなどでも使われた)。なお、燃料タンクはシート下に設けられ、給油口はリアカウル上部に設けられていた。NS50Fゆずりのエンジン(AC08E)の最高出力は、当時の自主規制値いっぱいの7.2psで、1リッター換算すると145ps以上というハイパワーを誇っていた。NS-1は、原付1種という「しきいの低さ」と、フルサイズなので自然体で乗車できること、収納スペースが存在してデイリーユースの利便性が高いこともあり、人気モデルとなった。1995年2月のマイナーチェンジでは、ヘッドライトがデュアル(2眼)タイプとなった。これは、400ccクラスのRVF(NC35)のイメージを踏襲したもの。NSRに寄らず、RVFというところが、汎用性の高いNS-1のキャラクターを表わしてもいた。1998年のカラー変更を最後にモデルライフを終え、翌年にはミニレプリカのNSR50も終了。それ以降、ホンダの原付1種にフルカウルモデルは存在していない(2018年5月現在)。