隊商がラクダを連ね、西と東、ローマ帝国と中国を結んだ通商路、絹の道、シルクロード。そんなロマンあふれる名前がつけられたトレッキングモデルが登場したのは、1981年3月のことだった。不整地走行用だが、たわむれにも専用コースに出るようなバイクではなく、道を選ばず、舗装路も未舗装路も関係なくゆったりとしたツーリングを楽しむ、それがシルクロードの特徴だった。搭載されたのは、248ccの空冷4スト単気筒OHC4バルブエンジン。5速ミッションながら、通常の1速目に加えてスーパーローギアを設定。傾斜角30度の激坂や砂地などで使うための特別なギアだった。旅バイクということで、始動はセルフスターターのみ。標準状態のシートはソロタイプであり、後部には大きな荷物を積むためのキャリアが装備されていた。余談だが、喜多郎のオープニングテーマが印象的なNHKのドキュメンタリーシリーズ「シルクロード」の放送開始は、このモデルが登場する前の年、1980年のことだった。